chiji's world peace radio

料理の模倣 思考の訓練 文鳥のモフ

不協和なイカの塩辛

 今日はイカの塩辛をご飯に乗せて食べました。とてもおいしかったです。

 皆さんはイカの塩辛を、どのようにして食べますか?ボクは最初、塩辛単品で食べていました。テレビのCMかなにかで、ご飯の上にイカの塩辛をのっけて食べる映像をみて、おいしそうだなぁと思い、試してみました。しかし、初めて食べるイカの塩辛丼は口に合いませんでした。一緒に食べているのに、なにか別々で食べているような違和感が口の中に広がりました。とてもおいしいとは言えない、というのがその当時の感想でした。

 しかし数年後、ボクは何を思ったのか、またあのイカの塩辛丼が食べたいと思うようになりました。そんなに美味しくはなかったはずなのに、今食べたい!そしてスーパーでイカの塩辛を買い、食べました。やっぱり自分の想像とは違い、おいしくはなかったのです。

 ですが、また食べたいと思い、その度に失望するということを繰り返しました。そして時を経て現在、白米の上にイカの塩辛を乗せて食べるのがとても美味しいと思うし、好きです。ではなぜ、美味しくないのにまた食べたいと思うのか?それは不協和が生み出す美に目覚めかけているからだと考えます。

 音楽を勉強していると「減五度」という言葉が出てきます。ハ長調での減五度は「シ」「ファ」の音程です。このシファを一緒に鳴らすと、とても不協和な響きが感じられます。減五度というのは、不安定な音程です。先日のブログで「不安定」は「安定」を求めるという話をしました。このシファの減五度は、安定感のある音程「ド」「ミ」に解決したい欲求を持っています。ボク等は不協和な、とても聴く事が出来ないような音程を、時には気持ちいいと感じたりします。

 イカの塩辛と白米は、当時のボクにとても不協和に感じたんだと思います。その不協和な味を、ボクは心のどこかで完全に拒否できなかった。だから、また食べたいと思うようになる。

 まぁ、元々ゲテモノ好きというのもありますがねw