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愛のない未来

 

On Your Mark - Chage & Aska - YouTube

 先日、ふらふらとジブリショップ内を見ていたら、店内BGMにチャゲ&アスカがかかっていた。

 「なんでチャゲアスがかかってるんだよ」と、ふと思ったんだけど、「ああ、そうか。なるほど」と勝手に勘違いして勝手に納得した。

 ジブリ宮崎駿監督がPVを手掛けた、チャゲ&アスカの「on your mark」という曲があって、それを思い出したのです。隠れた名曲でPVを見ていただければ分かるんですが、内容がかなりぶっとんでます。

 核戦争後の世界なのか、放射能が辺りに撒かれて人が住めなくなった世界が舞台です。この物語で主人公が二人出てきます。(恐らくチャゲアス)ある宗教団体を襲撃した時に、ひとりの女の子に出会う。その子は放射能の影響なのか、翼が生えており、研究の為に捕まえられてしまう。ふたりは少女を救出すべく、奮闘する。という内容のPV。

 ラストのシーンで、少女を救出して施設から抜け出した時に見える、背景にプリンみたいな形のオフホワイトの建物が見えたり、最近よく見る放射能の標識が見えたり。過去に人がたくさん住んでいたであろう町並みの中に、ぽつりと歪な形のした建造物があったり。これは国内のいたるところにある原子力発電所を抽象化したもの、と捉える事ができる。

 つまり宮崎駿監督は、この頃から原子力発電に異を唱えていたんですね。原子力発電には「愛」がない。その愛のなさが、少女を殺してしまう。生物を破壊してしまう。ではなぜ「愛」がなくなるのか?それは「愛」よりも、優先すべきものがあると考えている人がいるから。「金儲け」であったり「名誉」「暮らし」「利便性」などが「愛」よりも優先されてしまう。

 PVでは少女を研究の為に捕まえられてしまう。「研究のため」とは、人類のためなのか。ひとりを犠牲にする事で、他の100人が生き長らえる合理的な判断としてなのか。まぁこの話はサンデルさん呼ばなきゃって話ですがw

 黄色い車で逃走中に、道が崩れて落っこちそうになった時、車のタイヤ付近から光が出てきて飛ぶシーンがあります。その前に一度は落っこちていくシーンがあります。車から少女を出し、必死に少女に羽ばたかせようとする。最後まで少女だけでも救おうと必死になり、無惨にも落ちていくシーン。

 これは「現実」と「理想」を描いているんだと思います。現実は難しい事の連続かもしれないけど、理想を見たっていいじゃない!キレイごとかもしれないけど、理想の世界って素晴らしいもんだと思うよ!と、宮崎駿監督はこのシーンに力を入れてたんじゃないでしょうか?だって、落ちていくふたりの仕草とか、少女の不安げな表情とかがリアルすぎるんだもん。

 実際に落ちて自分が死ぬんだと直感で分かったとしたら、どうするか。ムダだと分かっていても(決してムダとは口にしないが)、今出来る事(少女を救う事)を優先して行動する。

 やみくもに。